MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社(取締役社長 グループCEO:舩曵 真一郎、以下「MS&ADホールディングス」)とHEROZ株式会社(代表取締役CEO林 隆弘、以下「HEROZ」)は、独自の生成AIを開発できる大規模言語モデル(LLM)及び大規模視覚モデル(VLM)の基盤構築に関する共同検証を行いました。今後も両社は、保険業務の効率化、高度化や補償前後のリスクソリューションの提供を目指し、引き続きAI技術の検証を進めていきます。
1.共同検証の背景
MS&ADホールディングスは、社員の発想力向上と業務効率化を目的に、2023年7月にグループ全社員がセキュアに生成AIを利用できる環境を整備しました。その後、RAG(Retrieval-Augmented Generation)※1技術を応用し、自社情報を参照しながら回答するチャットシステムを、社員自身が手軽に構築できる仕組みとして整備しましたが、大規模データを正確に参照できない、映像・画像データの取り扱いが難しい等の課題がありました。MS&ADホールディングスは、これらの課題を解決する取組の一環として、HEROZとの共同プロジェクトを開始しました。
※1情報検索と生成モデルを組み合わせた自然言語処理のアプローチ
2.実施概要
両社は大規模言語モデル(LLM)※2および大規模視覚モデル(VLM)※3の基盤構築と運用に向けた共同検証を行い、オープンソースソフトウェア(OSS)※4LLMの選定、ファインチューニング※5実施環境を構築、MS&ADグループ独自のデータに基づく追加学習、回答精度向上への取組みを実施しました。これにより、グループが保有する文書や画像データを用いた独自生成AIモデルの構築・運営を目指しました。
※2大量のテキストデータによって学習された深層学習・言語処理モデル
※3大規模言語モデルに視覚情報を組み合わせた言語モデル
※4無償でソースコードの改変や再配布が可能なソフトウェア
※5既に学習済の言語モデルに、目的のタスクに応じたデータで追加学習を行う手法
3.検証の成果
今回の検証により、自社で構築した生成AIと外部提供の生成AIの違いに関する知見を得ることができました。また成果として、MS&ADグループ独自の生成AIモデルを簡便に構築できるようになり、具体的には、QA形式のファイルをアップロードするだけで、ファインチューニングされたLLMやVLMを構築し、独自モデルを用いたQAチャットが実施可能となりました。
4.今後の生成AI活用について
今回の共同検証の成果により、MS&ADグループが持つ多様なデータとオープンデータを組み合わせてLLM/VLMに追加学習させることで、高度な業務支援アプリケーションや補償前後における新しいリスクソリューションの開発、たとえばAIによるヒヤリハット自動検出など、様々な独自生成AIを活用したソリューションが開発できるようになりました。今後もMS&ADホールディングスとHEROZは、保険業界の業務効率化と高度化に向けた生成AIの活用を目指し、共同検証を継続していきます。
参考: 生成AIによる交通シーンの分析イメージ
■MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社について
MS&ADインシュアランス グループ ホールディングスは、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損害保険の2つの損害保険会社を中核とし、国内外で損害保険事業や、生命保険事業などを展開する、保険・金融グループの持株会社です。
「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」という経営理念のもと、「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」を目指しています。リスクソリューションのプラットフォーマーとして、社会課題を解決し、社会と共に成長しながら企業価値の向上を図っています。
■HEROZについて
HEROZは、「驚きを心に」をコンセプトに、世界を驚かすサービスを創出することを目指すAIソリューションカンパニーです。将棋AIの研究開発から生まれた独自AIを基盤に、ディープラーニング(深層学習)などの機械学習の研究開発やビジネスへの実戦的な応用を続けています。私たちは、技術開発を通じてAI革命を起こし、あらゆる産業で新たなヒーローを生み出し、各産業にパラダイムシフトをもたらす未来を創ることに挑戦しています。
■本件についてのお問合せ先
・MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社
広報・IR部 広報担当
Email:msad_kouhou@ms-ad-hd.com
・HEROZ株式会社 広報担当
Email:press@heroz.co.jp